【色のある毎日 #4】芸術の色を感じる。
【色のある毎日 #4】芸術の色を感じる。
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9月のテーマは「色のある毎日」です。
先日、知人におすすめされて気になっていた「デイヴィッド・ホックニー展」へ行ってきました。
デイヴィッド・ホックニーとは現代を代表する画家のひとりで、恥ずかしながら私はいままでその存在を知らなかったのですが、今回の展覧会は日本では27年ぶりの大々的な個展ということもあり、かなり注目を集めているようです。
会場は東京都現代美術館。独特の静謐な空気に迎えられて歩みを進めると、印象的な作品「2022年6月25日、(額にはいった)花を見る」を掲出した大きなボードが。目にした瞬間、自分の中でスイッチが入るのを感じます。
撮影が許可されている作品が限られていたため、こちらでは一部しか取り上げられないのですが、日本初公開となる油彩画「春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年」とiPadで制作されたという12作品が並ぶ空間は、行ったことのない異国の地の木立や枝葉がすぐ目の前で風に揺れているような生命力が写し出され、言葉には表しきれない没入感がありました。
肉筆の色や質感を間近で見ることができるのは、展覧会の最大の魅力と言えるかもしれません。
「春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年」
「5月11日」
左から「5月16日」「5月30日」「5月31日」「6月2日」
絵画鑑賞も“ご自愛”のひとつ
実は絵画鑑賞も科学的、医学的な観点から、心身によい影響を与えることがわかっていて、現在も研究が進められているそうです。
絵画を見ることで視覚的な刺激が起こり、脳内でドーパミンやセロトニンなどのホルモンが分泌されて、幸福感や充足感、リラックスした状態がもたらされるとともに、【色のある毎日 #1】でもお伝えしたように、絵画に使われている色彩によってもホルモンや自律神経への作用があり、近年ではマインドフルネスを実践しながら絵画を鑑賞するワークショップや本も登場しています。
作品を眺めているだけで心のもやもやが晴れたり、ゆったりした気持ちになれるのにはきちんとした根拠があったのです。美術館へ出かけることがセルフケアにつながるというのは、嬉しい発見です。
展覧会のお楽しみは、特別なグッズを自宅へ連れ帰ることにもあります。今回は全出品作品127点のカラー図版が掲載されたカタログと、ホックニーの作品の中でお気に入りとなった「スプリンクラー」がデザインされたクリファイルとハンカチをセレクト。日常で色やアートを感じられる存在がすぐそばにあるのは、しあわせなこと。
芸術の秋が深まるいま、また別の展覧会へも足を運んでみようと思っています。