スープ研究の旅 in 韓国 ソウル 02|whole vol.6

スープ研究の旅in韓国 ソウル
赤くて辛くて刺激的。
韓国のスープといえば、そんなイメージがあるけれど、
実はそれだけではないのです。
透明、白濁、生成り色。
韓国は、素朴でやさしく滋味深いスープの宝庫。
おいしい湯けむりに包まれに、出かけてみませんか。
撮影/須藤敬一 ヘアメーク/kika
コーディネーション/Shinhae Song・藤本千治(TANO International)
※価格や営業時間は変更になる場合があるのでご了承ください。
価格はウォン。1₩=約0.1円(2026年2月現在)

丹念に煮込んだ白濁の牛骨スープ。見た目よりすっと軽くて、
ちゃんと滋味深い。
牛骨トックッ₩15,000
통의동 국빈
通義洞 国賓館
(トンインドン クッピングァン)
-
住所
서울특별시 종로구 자하문로2길 17-4
17-4, Jahamun-ro 2-gil, Jongno-gu, Seoul - 営業時間 11:30~15:00/17:00~22:00 (LO 20:30)
- 定休日 なし
- Instagram @kukbingwan_official

中庭を囲む席に、やわらかな光が差し込む。
人が賑わう景福宮の近くとは思えないほど、静か。
韓国に来ると、やっぱり焼き肉が食べたくなる。そこに絶品スープもあれば、なお完ペキだ。そんな欲張りな気分に、ばっちり応えてくれる店が〈国賓館〉。韓屋のシックな空間で練炭焼きの韓牛を楽しめるだけでなく、機内食メニューの開発を手がけてきたキム・ユンゴン代表とシェフたちが、国民食ともいえるスープやラーメンを、選び抜いた食材でひとつ上の味へと仕立てる。こだわりがぎゅっと詰まった食事メニューも評判だ。

白キムチは唐辛子粉を使用しない
キムチ。
さわやかな酸味が肉料理とよく合う。
まずは韓牛のカルビ。ほどよい弾力をゆっくり噛み締めると、上品な脂がじわりと広がる。白キムチと重ねると、ぐっと洗練される。そして、お目当ての牛骨トックッ(餅スープ)は、牛骨を煮出した白濁のスープに、大ぶりのスペアリブを加えて煮込んだ力強い一杯。コクがありながら重さはなく、上品な味わいが残る。
うるち米でつくる餅入りのスープは旧正月の定番料理だけど、疲れた体をいたわる滋養食としても親しまれている。お雑煮好きはきっとにやけてしまうはず。

新鮮なエゴマをきめ細かくすり潰すことで生まれる、まろやかな口当たり。
トゥルケ(エゴマ)スジェビ₩10,000。
인사동 항아리수제비 仁寺洞(インサドン)ハンアリスジェビ
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住所
서울특별시 종로구 인사동8길 14-1
14-1, Insadong 8-gil, Jongno-gu, Seoul -
営業時間
月~金 11:30~14:50/17:00~20:40 (LO 19:40)
土日 11:30~15:20/17:00~20:40 (LO 19:40) - 定休日 なし

2代目店主のチ・ミンソンさん。
娘のユン・ジョンへさんも
一緒に店に
立つ、あたたかな
家族経営。
出会ったが最後、抜け出せない。この旅で虜になった、エゴマのスジェビ。〈仁寺洞ハンアリスジェビ〉では、煮干しと野菜でとった出汁に、エゴマの実をすり潰した粉末(トゥルケカル)とジャガイモを加えて煮込む。
スジェビは、小麦粉をこねてつくる韓国版のすいとんで、生地は一日熟成させているので、もちっとやわらかい。それらが溶け合い、ポタージュのようなとろみが生まれる。なめらかな舌触りのあとから、素材の力がゆっくり追いかけてくる。

仁寺洞の路地は細くて少し迷う。でも、こういう店に限って、うまい。
古くから愛されてきたエゴマは、栄養価が高く、韓国のスープや鍋には欠かせない。胃にやさしく、満腹感をもたらすので、疲れていても一杯すすれば、また元気が戻ってくる。そんな復活の味。 店内には、かつて使われていた甕(ハンアリ)が並ぶ。茶褐色の空間に身を置くと、時間がゆっくりと流れていく。またここに戻ってきたくなる。

メニューはプゴグッ(干しダラのスープ)のみ。
スープもおかずも、おかわり自由という、太っ腹だ。プゴグッ₩10,000
무교동북어국집 武橋洞(ムギョドン)プゴグッチッ
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住所
서울특별시 중구 을지로1길 38
38 Eulji-ro 1-gil Jung-gu Seoul -
営業時間
月~金 7:00~20:00 (LO 19:30)
土日 7:00~15:00 (LO 14:30) - 定休日 なし

朝7時から開店。回転が早いので長い行列ができていても、
のんびり待とう。
「次の旅の朝食も、ここにしよう」と確信したプゴグッに出会えたのは、1968年創業の老舗〈武橋洞プゴグッチッ〉。席に着くと、湯気でもくもくの厨房が見えた。釜の前で、まるで『千と千尋の神隠し』の釜爺のようにスープを注ぐアジョシ(おじさん)の手さばきに、目が釘付けになる。同時にお腹がぐぅとスタートの合図を鳴らした。

スケトウダラには肝臓機能を高めるメチオニンが豊富。
「へジャングッ(酔いざましのスープ)」とも呼ばれる。
冬の寒さが厳しい朝鮮半島では、保存のきく干物が重宝されてきた。なかでもたんぱく質やアミノ酸を多く含む干しダラは、日々の食卓に欠かせない。その頭と牛骨をじっくりと煮込んでプゴグッの出汁をとる。干しダラの身は煮込むとやわらかく、ほんのり香ばしさもあり、卵や豆腐とも引きたて合う。 スープには水キムチやご飯が添えられ、卓上には白菜キムチ、ニラのナムル、エビの塩辛が並ぶ。組み合わせも塩加減も、自分好みにまっしぐら。おいしさも気前のよさも、ありがとう。




