にんじんをまるごと味わうロースト|野菜のつかい方帖 vol.01

[mehishiba]鈴木研さんに教わる、
にんじんをまるごと味わうロースト。
忙しい日でも手軽に野菜を楽しめる〈野菜をMOTTO〉のスープのように、毎日の台所でも野菜をもっとおいしく食べたい。そんな思いから生まれた「野菜のつかい方帖」。
案内役は、東京・新富町の[mehishiba]オーナーシェフ・鈴木研さん。雑草「雌日芝(めひしば)」に由来する店名を掲げる小さなレストランでは、在来種の野菜や珍しい外来品種まで、農家直送の野菜を軸にコース料理を組み立てる。季節のリズムを受け止めるように、皿の中心にはいつも野菜があり、その滋味深さに今静かに魅了される人が多い。

そんな鈴木さんが「野菜そのもののおいしさを感じられる一皿」として教えてくれたのが、にんじんを丸ごとローストするレシピ。材料はにんじんとバター、塩・こしょう、少しのハーブだけ。オーブンでじっくり焼くだけで、にんじんの甘みがぐっと際立つ。香味をまるごといただく一皿をお試しあれ。


にんじんのロースト
にんじんドレッシング添え
- ・にんじん 1本
- ・バター(無塩) 10g
- ・タイムやローズマリー 適量(あれば)
- [にんじんドレッシング]
- ・にんじん 1/2本(皮ごとすりおろす)
- ・塩 ひとつまみ
- ・レモン汁 小さじ1(5g)
- ・白ワインビネガー 小さじ1(5g)
- ・ホワイトバルサミコ 少々(あれば)
- ・こしょう 適量
- ・エクストラバージンオリーブオイル 大さじ1
- [仕上げ用]
- ・フェンネルシード、オレガノ、クミン 各少々(好みで)
- ・エクストラバージンオリーブオイル 適量
- ・粗塩 少々
- 1.鍋ににんじんとバターを入れ、タイムやローズマリーを加える。蓋をして200℃のオーブンで40分焼く。途中20分で上下を返す。
- 2.ドレッシングを作る。すりおろしたにんじんをボウルに入れ、塩、レモン汁、白ワインビネガー、ホワイトバルサミコ、こしょうを加えて混ぜる。エクストラバージンオリーブオイルを加え、さらに混ぜる。
- 3.器にローストしたにんじんを盛り、ドレッシングをかける。好みでフェンネルシード、オレガノ、クミンを振り、仕上げにオリーブオイル、粗塩をかける。

皮ごと焼けば香りも栄養も逃げにくい。「ほんとに入れるだけなんです。調味料に頼らなくても、にんじんそのものの甘さが引き出される。スーパーで売っているもので十分おいしくできます」と鈴木さん。にんじんは、ずんぐりとした形で香りの強いものを選ぶとよいという。
「鋳物ホーロー鍋で作るのがおすすめです。なければ、アルミホイルに包んでオーブンで焼いてもOK。鍋底の焦げつきが気になる場合は、クッキングシートを敷いても大丈夫です」

仕上げに添えるのは、すりおろしたにんじんをベースにしたドレッシング。「野菜を野菜で合わせるのが好きなんです」というように、同じ素材で味の層を重ねる感覚は、まさに鈴木さんらしい一手。素材が主張しすぎず、するすると沁み入るように身体に入っていく。そんな[mehishiba]らしい素朴な一皿だからこそ、野菜本来の味をしっかりと味わえる。忙しい日の副菜にも、休日のごちそうの付け合わせにも頼りになるレシピだ。

鈴木研 [mehishiba] オーナーシェフ
新富町のイタリアン[クーリ]や、和歌山[ヴィラ・アイーダ]で自家菜園に携わりながら経験を積み、その後は渋谷[Bistro Rojiura]のシェフとして腕を振るう。さまざまな現場で野菜と向き合ってきたのち、東京・新富町に自身の店[mehishiba]を2024年7月にオープン。