シンプルに引き出す秋の味|野菜のつかい方帖 vol.02

シンプルに引き出す秋の味。
[mehishiba]鈴木研さんの
かぼちゃリゾット
忙しい日でも手軽に野菜を楽しめる〈野菜をMOTTO〉のスープのように、毎日の台所でも野菜をもっとおいしく食べたい。そんな思いから生まれた「野菜のつかい方帖」。
案内役は、新富町の小さなレストラン[mehishiba]を営む鈴木研さん。田畑の畦道に揺れる雑草の名を冠した店では、農家から届いたばかりのおまかせ野菜をきっかけに、その日の料理が生まれていく。皿ごとに移ろう旬を受け止めるように、鈴木さんが提案する料理には、野菜が真ん中に据えられる。
今回、すすめてくれたのは、秋の定番・かぼちゃを使ったリゾット。 「かぼちゃは別に煮てから最後に合わせると、かぼちゃの味わいがしっかり残るんです」と鈴木さん。手順は意外とシンプル。お米を炒め、スープを加え、途中で煮たかぼちゃを合わせるだけ。仕上げにバターとチーズを加えれば、まろやかなコクが重なり、秋の食卓に似合う一皿が完成する。
「かぼちゃはスーパーで手に入るもので十分。収穫してしばらく貯蔵したものは、水分が抜けて甘みが増します。潰し方はお好みで、形を残しても、ピューレにしてもいいですよ」
シンプルなリゾットだからこそ、かぼちゃの甘さやコクがダイレクトに伝わる。やさしさの中に芯のある味わいが魅力のレシピだ。

かぼちゃのリゾット
- ・かぼちゃ(大) 1/4個(皮と種を除く)
- ・オリーブオイル 適量
- ・白米(洗わない) 1合
- ・チキンブイヨン 400ml(温めておく)※和風だしでも可
- ・赤ワイン 30ml
- ・ローリエ 1枚(あれば)
- ・バター 15g
- ・パルミジャーノ・レッジャーノ(すりおろし) 15g
- ・塩 適量
- ・パセリ(仕上げ用) 少量
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1.かぼちゃは皮と種を除き、一口大に切る。
鍋に入れてかぶるくらいの水と塩ひとつまみを加え、蓋をして加熱する。沸騰したら弱火にし、15〜20分煮る。
柔らかくなったら火を止め、かぼちゃを潰す。
※ブレンダーでなめらかにしても、ごろごろ感を残してもよい。煮汁は残しておく。 - 2.蓋つきの鍋にオリーブオイルをひき、中火にかけて米を炒める。米に油をコーティングするように炒め、表面が透明になったら温めたブイヨンを注ぎ、赤ワインとローリエを加える。
- 3.沸騰したら弱火にし、蓋をして10分煮る。米に火が入ったら蓋を外し、水分を少し飛ばす。
- 4.煮詰まりすぎないうちに、かぼちゃの煮汁を加えて混ぜ、全体をなじませる。
- 5.火を止め、バターとパルミジャーノを加えてよく混ぜる。塩で味をととのえる。
- 6.器に盛り、刻んだパセリを散らし、エクストラバージンオリーブオイル(分量外)をまわしかけて仕上げる。

「米や豆みたいな穀物と合わせると、かぼちゃのやさしい甘味がよく引き立つんです。うちでもよく組み合わせます」 このリゾットも、店で実際に出している料理のひとつ。 秋の実りを受け止めた一皿だ。
白米は洗わずに、炒めてから炊く。「油でコーティングしてから炊くと、米が水分を吸いすぎず、ベタつきません」そうすることで、リゾットにちょうどよい粒立ちに仕上がるそう。
赤ワインを加えれば味にキリッとした締まりが出て、かぼちゃの甘さとのバランスもよくなる。

「ブイヨンは温めておくといいですよ。冷たいままだと、急に鍋の温度が下がって、お米からでんぷん質が出やすくなります」ちょっとした気配りが、シンプルな料理を奥行きのある仕上がりに変えてくれる。

そのままでも満足感のあるリゾットだけれど、スープを添えればさらに豊かな食卓に。ランチには、「鹿児島産じゃがいもとベーコンと5種類の野菜たっぷり具沢山のポトフスープ」を合わせてみたい。大きめに切られた野菜の食感がしっかり残るボリュームのある一杯だ。
かぼちゃのリゾットのやさしい甘さに、温かいスープが寄り添えば、秋の昼下がりにふさわしい食卓ができあがる。

鈴木研 [mehishiba] オーナーシェフ
新富町のイタリアン[クーリ]や、和歌山[ヴィラ・アイーダ]で自家菜園に携わりながら経験を積み、その後は渋谷[Bistro Rojiura]のシェフとして腕を振るう。さまざまな現場で野菜と向き合ってきたのち、東京・新富町に自身の店[mehishiba]を2024年7月にオープン。




