ひと工夫がスープをさらに美味しくさせる|麻生要一郎さんのスープと暮らし vol.02


麻生要一郎さんのスープと暮らし。
スープは料理であると同時に、暮らしを整える役割も果たしてくれます。では、日々のなかでどんなスープを、どんなタイミングで飲んでいるのでしょうか。料理家の麻生要一郎さんのご自宅を訪ねて、麻生さんにとっての「スープ」についてのお話と、一日の過ごし方をお聞きしました。全3回にわたってお届けします。

ひと工夫が、スープをさらに美味しくさせる。
日々のなかでスープを飲む時間が、ちょっとした楽しみになることがある。料理家・麻生要一郎さんが、スープをさらに美味しく楽しむために、どんな工夫をしているのか。まず教えてくれたのは、「好みの温度で食べる」というシンプルなこと。
「スープを美味しく食べる工夫をひとつ言うならば、好みの温度を守ること、じゃないかな。僕は熱いものをアツアツで食べたいので、できるだけ加熱して、事前に熱湯で器も温めておいています。最初の一口が自分の好みの温度だと、やっぱり嬉しいですよね」
また、具材の食べ応えにも気を配っているそう。
「“食感がちゃんとある”というのも、美味しく感じるポイントかもしれません。僕のインスタグラムに料理の写真を投稿すると、“ゴロゴロした何か”があるほうがいいねが付きやすくて(笑)。だからゴロッとした具材を入れるときは、大きさをなるべく揃えるようにしています」

スープに入れる具材も、単純に煮込めばいいというものではない。食感が残るようなサイズ感、見た目の印象、口に入れたときの満足感まで、小さな工夫の積み重ねが、食べる楽しさを支えている。そして、「野菜が足りていない」と感じるような感覚にスープはよく応えてくれると話す。
「レストランで素敵なサラダは食べたけれど、果たしてこれでちゃんと野菜を摂取したことになるんだろうか……?って不安になること、ありますよね。そんなときは、スープが最適だと思っています。たくさん野菜を入れてもかさは減るし、煮込んであるから体にもやさしい。心も体も、ちゃんと満たしてくれる存在です」
だからこそ、日々の暮らしの中で「野菜をMOTTO」のような存在があると頼もしい、と麻生さんは語る。

「今日いただいてみた『京都産聖護院かぶと生クリームのはんなりポタージュ』は、かぶの繊維や食感がしっかりと残っていて驚きました。一人暮らしの親やお子さんへの仕送りにもいいし、出産祝いなんかにも喜ばれそうですね」
さらに、実感として心強いと感じたのが、その手軽さだ。

「僕のように料理をする人なら、冷蔵庫に何かしら食材が入っているけれど、そうでない人にとっては、“一人分をちゃんと作る”って、意外とハードルが高いんですよね。うちのパートナーは料理をまったくしないので、僕が家を空けたとたん、食事が……まあ、無惨なことになる(笑)。でも『野菜をMOTTO』のスープは、温めるだけで一人分がちゃんと整っているし、味も本格的。『薬膳食材をことこと煮込んだやさしく滋養参鶏湯』も生姜がしっかり効いていて身体が温まりそう。クラムチャウダーやボルシチ、ミネストローネなど、20種類以上(季節により異なる)から選べるなんて、こんな幸せなことはないと思いますよ。これ、いくつか自宅に常備していたらとても心強いと思います」
忙しい日や料理をする余裕がないときでも、温めるだけでちゃんと美味しいスープが食べられる。そんな安心感が、いくつかあるだけで、日々の暮らしにちょっとしたゆとりをくれる。

麻生 要一郎
執筆家。1977年、茨城県水戸市生まれ。建設業やゲストハウス運営を経て、料理の道へ。
家庭的でやさしい味わいの料理に定評があり、お弁当のケータリングや雑誌でのレシピ提案、エッセイ執筆など幅広く活動。著書に『僕の献立』『僕のいたわり飯』『僕のたべもの日記365』などがある。