麻生要一郎さんの一日|麻生要一郎さんのスープと暮らし vol.03

麻生要一郎さんのスープと暮らし。
スープは料理であると同時に、暮らしを整える役割も果たしてくれます。では、日々のなかでどんなスープを、どんなタイミングで飲んでいるのでしょうか。料理家の麻生要一郎さんのご自宅を訪ねて、麻生さんにとっての「スープ」についてのお話と、一日の過ごし方をお聞きしました。全3回にわたってお届けします。

麻生要一郎さんの一日。
食事が整うと、気持ちもすっと落ち着く。スープは、そんな毎日のリズムをつくる手助けをしてくれます。では、「整った暮らし」とはどんなものなのでしょうか。料理家・麻生要一郎さんの一日をたどると、そのヒントが見えてきます。
料理家・麻生要一郎さんの一日は、愛猫・チョビとともに始まる。
「朝は大体6時に起きていますね。早起きというより、猫に起こされるんです」
猫のトイレを掃除し、ご飯を用意しながら、自分の身支度も整える。朝食は8時過ぎ。毎日欠かさず、コーヒーとパン、果物、そしてそのときどきのフルーツで作るフレッシュジュースが並ぶ。

「毎朝、食べるものはだいたい決まっていて。コーヒーにパン、それと果物とジュース。季節によってフルーツは変わりますが、搾りたてのジュースは欠かせません」
午前中は原稿を書いたり、メールをチェックしたりとデスクワークの時間。昼は予定があれば誰かと外でランチをすることもあるが、そうでなければ自宅で簡単に済ませることも多い。
「自分のためだけに料理を作るのって、あまり気が乗らないんですよね。そんなときに前日のスープが残っていたらラッキー。ご飯と一緒に食べるだけで、満足感も得られます。」
頑張りすぎない工夫が、生活に余白を与える。午後は仕事を続けるか、運動の時間。週に一度はパーソナルトレーニング、2週間に一度はピラティスにも通う。
「腰痛があったんですけど、ピラティスを続けていたら随分楽になりました。運動した日は体がシャキッとする感じがあって、仕事にもいい影響がある。食事も運動も、今はもう仕事の一部みたいなものですね」

体の調子を整えることは、働き続けるうえで欠かせない習慣のひとつ。生活全体を見直す中で、運動も自然とスケジュールの一部になっていった。
「“一駅分歩く”くらいの小さなことから始めればいいと思うんです。どうせ長生きするなら、できるだけいい状態で生きていたいですからね」
夕方以降は、猫のご飯の時間にあわせていったん帰宅。そこから外出することもあれば、そのまま家で過ごすこともある。寝るのは大体、日付が変わってから。平日も週末も関係なく、同じようなリズムで日々を重ねている。
「料理も生活も”誰かのため”という原動力があるからこそ、しっかりとできているようには思えます。ひとりだったら、ここまできちんとやれてないと思うなあ」
朝の支度から運動のペース、食事の工夫まで。小さな習慣の積み重ねが、麻生さんの心地よい日常をつくっている。

麻生 要一郎
執筆家。1977年、茨城県水戸市生まれ。建設業やゲストハウス運営を経て、料理の道へ。
家庭的でやさしい味わいの料理に定評があり、お弁当のケータリングや雑誌でのレシピ提案、エッセイ執筆など幅広く活動。著書に『僕の献立』『僕のいたわり飯』『僕のたべもの日記365』などがある。