余った野菜、どうしてる?|野菜の使い方帖 vol.02



余った野菜、どうしてる?
[organ]紺野真さんに聞く、野菜の活かし方
「野菜を、もっとおいしく食べたい」。そんな思いからはじまった、全4回の連載企画「野菜のつかい方帖」。
案内人は、東京・西荻窪[organ]や三軒茶屋[uguisu]のオーナーシェフにして、麻布台ヒルズ[Orby]のヘッドシェフを務める紺野真さん。前回は、ミニトマトだけでつくるソースを使った夏のトマトパスタを教えてもらったが、今回は、その延長線上にあるもう一歩進んだ野菜との付き合い方について。 テーマは、「余った野菜の活かし方」。
なるべく捨てない、余ったら活かす。そんな姿勢のもと、紺野さんが実践する家庭でもできるアイデアをQ&A形式で伺った。
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どう保存していますか?「まず、冷やしすぎない。ペーパーで包んで、湿度を調整します」
キャベツや葉物など、冷蔵庫で水分を失いやすい野菜には、ひと手間加えるのがコツ。キッチンペーパーで包んでから保存すれば、乾燥しすぎず、余分な水気も防げる。 「温度と湿度が整っていれば、野菜の持ちはぐっと良くなりますよ」
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「火を入れる、が基本。炒めたり煮たりすれば、持ちが良くなります」
冷蔵庫でくたびれそうな葉物や根菜は、なるべく早く調理してしまうのが鉄則。
「火を入れておけば、あとからでも付け合わせやスープ、まかないに転用しやすい。カレーやパスタに混ぜてもいいと思います」 -
ありますか?「いっぱいあります。むしろそこが主役になることも」
たとえば
- ・ラディッシュの葉:「ジェノベーゼみたいにすると、バジルよりおいしいことも」
- ・パクチーの茎・根:「香りが強いから、揚げたり、ソースや炒め物にぴったり」
- ・しいたけの軸:「刻んでパスタに混ぜると旨みが出ます」
- ・アスパラの皮、グリーンピースのさや:「スープの出汁になるんです」
「もう使えないかなと思ったら、まず火を入れてみる。ひと工夫で、おいしさに変わることって意外とありますよ」
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「全部まとめて野菜のストックにしてます」
ねぎの青い部分、にんじんの皮、セロリの葉、パセリの茎など切れ端、皮、葉先などをすべてカットして鍋に入れ、煮出してざるで漉せば、旨味のある野菜出汁が取れるという。
「野菜を無駄にせず、使い切れます。煮込みやスープ、味噌汁などの出汁にしたらおいしいと思います」冷蔵庫に眠るキャベツの芯。しなびた葉物。捨てる前に、もうひと工夫。野菜を最後まで楽しむヒントは、案外すぐそばにあります。

そしてこれからの季節、軽やかに野菜を味わいたいときには、こんな一杯もおすすめ。
「静岡産『あかでみトマト』で煮込んだ7種野菜と3種の豆が甘み豊かなミネストローネ」は初夏から夏へ、トマトがおいしくなるこの季節にぴったり。とうもろこしの旬が始まる時季にうれしい「北海道産スイートキッスのしっとり 冷たいポタージュ」
次回は、「皮にこそ香りがある」という紺野真さんの言葉を手がかりに、ごぼうをテーマにお届け。皮ごと香りを引き出すコンフィとフリット、食感も楽しい2つのレシピをご紹介。お楽しみに。

紺野真 organ / uguisu オーナーシェフ
1969年東京都生まれ。高校を卒業後、カリフォルニア・ロサンゼルスに移住。帰国後、カフェやビストロで経験を積み、2005年に三軒茶屋にワインビストロ「uguisu」をオープン。2011年には西荻窪に「organ」を開店。2023年11月には、麻布台ヒルズに開業した「Orby Restaurant」のヘッドシェフに就任。著書には、『なぜかワインがおいしいビストロの絶品レシピ』(サンマーク出版)や、2025年4月には『uguisu/organ 紺野 真が作る 野菜のひと皿料理』(グラフィック社)を発売。