ごぼうの皮ごと、おいしく。|野菜の使い方帖 vol.03


[organ]紺野真さんが教える、
香りを活かすコンフィとフリットレシピ
野菜をもっとおいしく食べるための連載、第3回。今回のテーマは「ごぼう」。教えてくれたのは前回に引き続き、西荻窪のビストロ[organ]のオーナーシェフ・紺野真さん。コースの中で野菜の使い方に工夫を凝らし、季節の素材を生かす料理に定評のある紺野さんが、「皮にこそ香りがある」と語るほど、ごぼうという素材に寄せる信頼は厚い。
「生では食べられないし、太いままだと火も入りづらい。だからこそ、ごぼうには向いてる調理法がある」そのひとつが“コンフィ”。低温の油でじっくり煮るように火を入れるこの方法なら、ごぼうのほくほくした食感が出て、香りもしっかり活きてくる。
もうひとつは“フリット”。薄くスライスして揚げたごぼうは、皮の香りがふわっと広がり、サクサクとした食感が楽しい。この2つを組み合わせて、コンフィにフリットをのせて仕上げれば、食感の違いが楽しめるだけでなく、見た目に映えるひと皿に。

ごぼうのコンフィ
- ・ごぼう 2〜3本
- ・塩 適量
- ・サラダ油 適量(ごぼうがひたひたに浸かる量)
- 1.ごぼうを洗う。表面はこすらず、香りの強い皮を残す。
- 2.全体に塩をふり、10分ほどおいてなじませる。
- 3.鍋にごぼうを並べ、サラダ油をごぼうがたっぷりと浸るまで加える。
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4.ごく弱火にかけ、油がぽこぽこと軽く沸いてきたら、フタをして100度をキープしたまま約3時間加熱する。途中で焦げそうなら火加減を調整する。
※100℃に設定したオーブンで加熱してもOK。 - 5.竹串がすっと通る柔らかさになれば、完成。

ごぼうのフリット
- ・ごぼう 1〜2本
- ・揚げ油 適量
- 1.ごぼうを洗い、ピーラーで細長く削ぐようにスライスする。力を入れず、糸のように薄く剥くようにが理想。
- 2.鍋に油を加えて加熱し、160℃の低温の油で、ごぼうをじっくり揚げる。
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3.泡が細かくなり、ごぼうが色づき始めたら、油を切ってキッチンペーパーの上に広げる。
※120度のオーブンで10分ほど加熱するとよりカリッとした食感に。

[organ]のコースでも、このごぼうのコンフィは肉料理のつけ合わせとして登場する。
炭火で焼いた鹿肉に添えれば、ごぼうの香りが引き立て役としてたちまち魅力を放つ。
「油には香りを移す力があります。だから何も加えず、ごぼうだけで煮る。それがいちばん香りを活かせるんです」ごぼうの個性を損なわず、引き出す2つの方法。いつものきんぴらとは違う、ごぼうの新しい顔が見えてくる。

ごぼうのコンフィに、メイン級の「北海道産レッドビーツと根菜ごろごろ濃厚ボルシチ」を添えれば、食べごたえのある一皿に。とろとろビーフに、北海道産のビーツ、大きめにカットした野菜がごろごろ入った、満足感たっぷりのスープ。

紺野真 organ / uguisu オーナーシェフ
1969年東京都生まれ。高校を卒業後、カリフォルニア・ロサンゼルスに移住。帰国後、カフェやビストロで経験を積み、2005年に三軒茶屋にワインビストロ「uguisu」をオープン。2011年には西荻窪に「organ」を開店。2023年11月には、麻布台ヒルズに開業した「Orby Restaurant」のヘッドシェフに就任。著書には、『なぜかワインがおいしいビストロの絶品レシピ』(サンマーク出版)や、2025年4月には『uguisu/organ 紺野 真が作る 野菜のひと皿料理』(グラフィック社)を発売。