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荒波とアラ鍋 | 冷めやらぬ WarmThings #15

冷めやらぬWarmThings #15 荒波とアラ鍋
さまざまな分野で活躍する人に、“冷めやらぬ愛を持ち続けているもの”について綴ってもらう連載エッセイです。WRITER 小川紗良 文筆家・映像作家・俳優
我が家の宝物 かれこれ1年以上、能登半島に通い続けている。きっかけは、2024年の元日に起きた地震のあと、3月に珠洲市の高校で行われた炊き出しだった。道路や水道の復旧もままならないなか、全国から食材と人手が集まり、調理場は混沌としつつ活気で溢れていた。 能登の食はとびきり美味しい。日本中、美味しいものはたくさんあるけれど、能登のそれは何か特別に感じられる。特に記憶に残っている食事がある。地震から1年以上経った2025年2月、雪景色の能登を訪れたときのことだ。この日は、能登町にある「カミショクドウ」でディナーの予約をしていた。 丁寧な出汁で、希少な魚をいただいた「アラ鍋」。美味しかったことは言うまでもない。馴染みのなかった海の景色も、その地域の魚介を味わうことで、ぐっと身近に感じられる。時には恩恵を、時には脅威をもたらす海を、そんなふうに見つめて生きる能登の人々。彼らのことを、私はもっと知りたい。
illustration：Higuchi Sakuya

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