スープ研究の旅 イン タイ Thailand Chiang Mai 01|whole vol.5

スープ研究の旅 イン タイ
13世紀に建国されたラーンナー王朝の趣が色濃く残る、タイ北部の古都・チェンマイ。
山々に囲まれた大地と、隣国の影響を受けた豊かな食文化を背景に、
グルメな人々から「何度でも足を運びたい」と愛されている場所だ。
まだ味わったことのない魅惑のスープに出会う旅へ、いざ出発!
※掲載情報は2025年4月現在のものです。価格や営業時間は変更になる場合があるのでご了承ください。
価格はタイバーツ(THB/税込)。
1THB=約4.25円(2025年4月4日現在)
撮影:須藤敬一 ヘアメーク:kika
コーディネーション:古川節子


地元民も旅人も
笑顔になる老舗の味
まずはチェンマイ名物から、とやってきたのは「カオソーイ・ラムドゥアン」。ここは、かつて中国雲南省から北タイに移り住んだ雲南系ムスリムが伝えた麺料理、カオソーイの有名店だ。1943年創業、数年前にミシュランのビブグルマンに選ばれたことで、世界のトラベラーもこの味を求めてやってくる。
カレースパイスの効いたココナッツミルクベースのスープは、うねりのある平たい卵麺によく絡む。濃厚スープが染み込んだ肉は、ほろほろでやわらかく、トッピングの揚げ麺、漬物、紫小玉ねぎのカリカリシャキシャキ食感もナイスグルーヴ。ライムをきゅっと絞れば、爽やかな味変も大成功なのだ。

Ⓐカオソーイ(60THB)は牛肉と鶏肉の2種類が主で、ムスリムにとっては牛肉が主流。Ⓑカオソーイと同じくらいチェンマイ人が好んで食べる麺料理、ナムニヤオ(60THB)。スープは豚肉とトマトがベースで、タオチオという発酵ペーストで味付けする。一緒に煮込む、豚の血を固めたルアットムーやトッピングのキワタの花のおしべ、ドークニウは好みが分かれるけど、挑戦してみて。米粉を発酵させてつくる麺、カノムジーンと食べるとウマイ!




彩りに心おどる
ヘルシースープを探して
タイ料理の魅力は、色とりどりの野菜を惜しげなくたっぷりどっさり使うところ。目からも元気をもらえる。「ミーナー」のゲーンリアンもそのひとつ。エビ、カボチャ、ヤングコーンたちが澄んだスープにぷかぷか浮かんでいて、食欲をそそられる。ひと口すくえば胡椒がふわりと香り、喉をすっと通り抜ける。この滋味深系のスープはタイ中部の家庭料理で、風邪をひいたときにもよく食べるのだそう。
こだわりのご飯は、白・黄・青のジャスミン米に加え、ライスベリーやブラウンライスから選べる。どれも自然由来の色で、青はバタフライピーという花をつぶして作る。さらにライム汁を入れると紫になるのも驚きだ。

Ⓐ色鮮やかで眼福なゲーンリアン(180THB)Ⓑ食後にフルーツの盛り合わせ(200THB)をシェアして、しあわせティータイム。Ⓒ5種のライス(1種30THB)。「ミーナー」はタイ語で「田んぼがある」という意味。敷地内の池は豊かな田園風景を思わせる。Ⓓタイ東北部イサーン地方のスープ、トムセープ(220THB)は、“酸っぱ辛い”がやみつきに。Ⓔ高床式の米蔵を移築して建てられたレストラン。木々のざわめきや鳥の声を聞きながらリラックスしよう。自然素材の工芸品や雑貨を扱うショップも併設。