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青森の暮らしに根づく味を訪ねて

青森の暮らしに根づく
味を訪ねて

前回は、青森でごぼう農家を訪ね、収穫の現場を見学。さらに、野菜を仕入れ、届ける人たちにも話を聞きながら、〈野菜をMOTTO〉のスープに使われる素材がどこで、どんな人たちの手によって育てられているのかを辿りました。 畑を歩き、つくり手の声を聞いていると、もっと知りたくなったのが、この土地で野菜がどんなふうに食べられてきたのかということ。 青森には、その土地の気候や暮らしから生まれ、長く親しまれてきた料理がたくさんあります。そこで今回は少し足を延ばして、八戸と十和田へ。郷土料理から地元で愛されるソウルフードまで、青森に根づく食文化を訪ねました。

朝の八戸で、土地の味を探して

まずは朝の八戸港を散策。八戸は太平洋に面した港町。新鮮な海の幸はもちろん、朝市文化が根付く“食の街”として知られ、日曜には館鼻岸壁に巨大な朝市が出現します。その名も、「館鼻岸壁朝市」。毎年3月中旬から12月末までの毎週日曜日、全長約800メートルにわたって、約300もの店が並ぶ、八戸の朝の名物です。残念ながら、この日は日曜日ではなく…。「次回は必ず日曜日に来るぞ!」と心を決めたのでした。 ちなみに、平日に八戸を訪れるなら、陸奥湊駅前「八戸市魚菜小売市場」へ足を運ぶのもおすすめです。1953年に市営の小売市場として開設され、市民に親しまれてきました。市場には、八戸港で水揚げされた魚介類をはじめ、水産加工品などがずらりと並びます。刺身や焼き魚、惣菜などを少しずつ買えるので、朝ごはんスポットとしても知られています。ぜひ、自分だけの朝定食を味わってみてください。

お次は、お目当ての郷土料理「せんべい汁」を食べるべく、八食センターへ。ここは新鮮な魚介類から、地元の野菜や果物、地酒、スイーツまで、八戸のおいしいものが何でも揃う、“食のテーマパーク”です。全長約170メートルの館内に60店舗ほどが軒を連ね、歩いているだけでも目移りするほど。レストランやフードコートも充実しています。

向かったのは、寿司や海鮮丼、蕎麦など、豊富なメニューが揃う人気店「勢登鮨」。こちらで、長年定番メニューとして親しまれている「せんべい汁」を注文しました。

せんべい汁とはどんな料理なのでしょう。 使われるのは、旧南部藩の領地だった青森県南東部から岩手県北部にかけての伝統食品・南部せんべい。小麦粉に塩と水を加え、鉄製の型で焼き上げたもので、米がとれにくかった地域では、かつては貴重な保存食としても重宝されていたそうです。その南部せんべいを味噌汁や鍋に入れて煮込んだのが、せんべい汁のはじまり。現在は、鶏だしをベースに、いろいろな野菜を入れて煮込み、最後にせんべいを割り入れて食べるのが一般的です。ただし、これといった決まりはなく、港町らしく鯖でだしをとることもあるのだとか。

「勢登鮨のせんべい汁は、鶏肉と野菜からでる出汁に醤油で味を整えた王道のスタイルです」と店主の工藤さん。鶏だしに、ごぼう、大根、にんじんなど、根菜類の旨みと香りが重なった汁をたっぷり吸ったせんべいは、とろーり。ほかではなかなか出合えない、独特の食感です。 クセのない、じんわりと沁み入る味。どこか青森の景色にも通じるような、おいしさを発見しました。しかも、意外と腹持ちも良いのです。

玉ねぎも絶品! 十和田のバラ焼き

旅の最後は、十和田の名物「バラ焼き」を食べに、地元の方におすすめしてもらったお店へ。十和田現代美術館から徒歩圏内の中心街にある「司」は、屋台のような開放的な空間でバラ焼きを楽しめます。肉は牛肉と豚肉から選ぶことができ、迷った末に今回は豚肉をチョイス。 コンロと鉄板が運ばれてきて、まず目を奪われたのは盛り付け。バラ肉を“薔薇”にみたてた、遊び心に思わず拍手!

味付けは、醤油ベースの甘辛味。これはもう、子どもから大人まで大好きな味です。 そしてバラ焼きで忘れてはいけないのが、たっぷりの玉ねぎ。鉄板で肉と一緒に焼くと、真っ白だった玉ねぎが少しずつ飴色に変わっていきます。立ちのぼる香りに、食欲が刺激されます。 もちろん肉も絶品ですが、食べ終わって特に印象に残ったのが、玉ねぎのおいしさ! 肉の旨みをしっかりとまとって、甘くてほろ苦く、とろりとした食感。玉ねぎのおいしさを存分に味わえるという意味でも、ぜひ一度食べてみてほしい青森・十和田のソウルフードです。ちなみに、司が提唱するおいしさの黄金比率は「肉1:玉ねぎ1.5」とのこと。

「バラ焼きに白飯はマスト!」と注文したところ、思いがけない再会が。なんと前回の記事で紹介した、ごぼうの漬物「十和田美人ごんぼ」が、メニューにあったのです。バラ焼き、ごはん、ごんぼ。最上級においしい組み合わせ! ごぼう畑から郷土料理、そして最後はバラ焼きまで。土地の味をたっぷりと堪能した青森の旅でした。

訪れた場所

八戸市魚菜小売市場

青森県八戸市大字湊町字久保38-1
日曜、毎月第2土曜定休
※営業カレンダーは八戸市HPをご確認ください。

勢登鮨(八食センター内)

青森県八戸市河原木神才22-2
水曜定休
※八食センターは店舗により営業時間が異なるため、
ウェブサイトにてご確認ください。

www.849net.com

司 十和田バラ焼き大衆食堂

青森県十和田市稲生町15-41 
※営業スケジュールはインスタグラムをご確認ください。
@ tsukasa_barayaki

撮影/渡邉まり子 取材/中野由佳

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