スープ研究の旅 イン タイ Thailand Chiang Mai 02|whole vol.5

スープ研究の旅 イン タイ
13世紀に建国されたラーンナー王朝の趣が色濃く残る、タイ北部の古都・チェンマイ。
山々に囲まれた大地と、隣国の影響を受けた豊かな食文化を背景に、
グルメな人々から「何度でも足を運びたい」と愛されている場所だ。
まだ味わったことのない魅惑のスープに出会う旅へ、いざ出発!
※掲載情報は2025年4月現在のものです。価格や営業時間は変更になる場合があるのでご了承ください。
価格はタイバーツ(THB/税込)。
1THB=約4.25円(2025年4月4日現在)
撮影:須藤敬一 ヘアメーク:kika
コーディネーション:古川節子


じんわり沁みわたる
おいしい余韻
夜は、カフェやギャラリーが集まるニマンヘミン通りの老舗レストランへ。ホンテウ(長屋)を改装した店内には、古時計やランプなど、時の流れを感じさせる、いい味の調度品が並ぶ。どこか懐かしく、温もりに満ちた空間にほっとする。
メニューは、タイ中部から北部の料理が中心で、中でもひときわ心惹かれたのが、トムカーガイ。ココナッツミルクと鶏肉のスープの調和は、コクがあるのに後味は驚くほどさっぱりとしている。ガランガルというショウガが軽やかな切れ味を加え、旨みをまとめている。レンゲでスープを掬うと、つるりとしたキノコが顔をだし、思わずにっこり。ビールの酔いもまわって、完璧なハッピーアワーであった。

Ⓐトムカーガイ(200THB)。鶏肉の代わりにエビを煮込んだトムカークン(220THB)、雷魚を煮込んだトムカープラー(220THB)がある。辛さの希望は注文時に伝えよう。

Ⓑゲーンキアオワーン(グリーンカレー/150THB)は、ココナッツミルクのクリーミーなおいしさと唐辛子のキリリとした辛さのコントラストがたまらない。とろりとした丸ナス、ぷちぷちとした豆ナスも絶品。ライスとの相性は抜群だけど、スープに塩漬け卵やニンニクをトッピングして、カムノジーンに絡めて食べるのもローカルっぽい味わい方。



お洒落していきたい
一軒家レストラン
オーナーのオートさんは、長年バンコクで会社経営に携わっていたという。料理好きが高じて、友人に手料理をふるまっていたところ、現店舗となる友人の家を借りる話が持ち上がり、この店を開くことに。中部地方出身のオートさんが幼い頃に味わったお祖母さんの味に、自身のレシピをかけ合わせた料理は、“オーセンティック・タイ・ホームメイドフード”。定番のタイ料理がイギリスのアンティーク調の器に盛られてくるミックス感は、乙女心をくすぐられる。中部地方の酸っぱ辛いスープ「ゲーンソム」は、チャオムという独特の香りを持つ地野菜を卵に混ぜて焼いたオムレツ入り。香りも食感も新鮮で、タマリンドの甘酸っぱさがやさしく後味に残る。スープの新しい扉がパカッと開いた一皿だった。

Ⓐチェンマイ旧市街から車で約15分南東へ移動したエリア。モダンなコンドミニアムが点在する静かな住宅街にある。Ⓑ中部地方を代表するスープ、トムヤムクン(各150THB)は、濃厚な「ナムコン」と、すっきりクリアな「ナムサイ」の2種類から選べる。大きな違いは、ココナッツミルクが入っているかどうか。どちらも甲乙つけがたいので、ひとつに決められないときは両方選んで食べ比べ♪ Ⓒエビとオムレツがごろりと入った、新感覚スープ「ゲーンソム」(180THB)。